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書籍 「日本一」がいっぱい~地方自治体が変わる~

「抜本的な財政再建に着手しながら、全国初の市民活動団体への「1%支援制度」をはじめ、情報セキュリティマネジメントシステムなどのセキュリティ認証、コンビニ情報端末での公共施設の予約サービスの導入、駅前再開発事業への「特定建築者制度」の活用など先駆的な取り組みを進め、先進自治体として全国から注目を集める千葉県市川市。就任以来、こうした施策を次々と打ち出してきた千葉光行市長自身が職員、市民との取り組みを綴った一冊。

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1-03部長室の仕切りを取りはずす
~コミュニケーションがとれる組織に変える

 市長に就任してすぐ、庁内や外部の施設などをまわりました。いままで市長が庁内を巡視するときは、助役(現在の副市長)や総務部長などもついてまわるのが慣例でした。そのため一大行事だったようですが、迎える各課では、いつ市長が来るのかを知っているので、事前に部屋を片づけ、仕事をやっているふりをすることもあったと言います。
 これでは、なんにもなりません。
 私はナマの現場が見たい、そう思ったのです。そのため、予定にも入れないで、時間があるとき、さっとまわるように変えたのでした。
 まさに不意打ちです。職員がボケッとタバコを吸っているところを目撃したこともありました(当時はまだ禁煙タイムを設けていただけで、部屋で吸っていたのです)。誰も客がいない窓口もありました。
 「ずいぶん暇そうだなあ」
 そう声をかけると、「今日はたまたまです。今度、忙しいときに見に来てください」と言われたため、その言葉を信じて、次に巡回したことがあります。しかし、誰もいない状況は変わりませんでした。
 ひとまわりして思ったのが、市民に接するカウンターが高すぎること、部長の席は衝立やロッカーで仕切ってあり、課員と隔絶していること、部長室の窓ガラスが曇りガラスで中が見えないこと、職員のネームプレートが小さく、しかもワイシャツ姿だとネームプレートもなく職員かどうか区別ができないこと、忙しい職員とそうでない職員の差が激しいことなどなど。改善しなければと感じたことは、たくさんありました。
 このうち部長室の仕切りは、すぐに取らせました。かつて部長の少ないころは、部長室にはちゃんとした個室があって、応接セットもありました。しかも総務部長ともなると、秘書や専用車もあったとか。
 そういうころに比べれば、いまは、かつての課長の数ほど部長がいるのですから、部長室などは作っていられません。
 それでもロッカーやパーテーションで仕切り、一応は「部長室」としていました。パーテーションとはいえ、課との間に隔たりがあり、コミュニケーションの障害になっているのは確か。
 狭い事務スペーースで仕事をしている職員のことを思えば、部長も課員と同じ部屋で並ぶべきだと思ったわけです。
 仕切りを取り去ってみると、案外評判がよろしい。部長にも各課の仕事が見えるようになったためです。
 各課の部屋のドアの窓ガラスも透明なものにしました。中の職員の様子が廊下からわかります。
 これは市民には評判がよいが、職員からは歓迎されませんでした。落ち着かないからと窓のそばに観葉植物など置いたり、座席の向きを変えた部長もいました。
 それも何ヶ月かのことで、そのうち当たり前になってしまいました。
 その後、窓口のローカウンター化も進めました。こんな小さな積み重ねが、だんだんに職員の意識を変えていくのではないか、私はそう確信していました。

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「抜本的な財政再建に着手しながら、全国初の市民活動団体への「1%支援制度」をはじめ、情報セキュリティマネジメントシステムなどのセキュリティ認証、コンビニ情報端末での公共施設の予約サービスの導入、駅前再開発事業への「特定建築者制度」の活用など先駆的な取り組みを進め、先進自治体として全国から注目を集める千葉県市川市。就任以来、こうした施策を次々と打ち出してきた千葉光行市長自身が職員、市民との取り組みを綴った一冊。

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1-02土日返上、会議は朝八時から
~「何かが変わるぞ」と期待と不安の職員

市長の任期の始まりは、前市長の任期のあとです。
 市長選挙(平成九年一一月三〇日)から、私が初登庁した十二月二五日までは一ヶ月近くありました。その間、私は当選していたものの正式には市長ではなく、決裁もできません。しかし、任期の開始を待ってはいられません。
 そこで市役所外の場所を借りて、各部の部長から非公式のヒヤリングをしました。市の予算は普通、一〇月ごろまでに各部から要求が上がってきます。国でいうと省庁からの概算要求です。それを財政部門で査定して、財政部原案(財務省原案で)を作るのが十二月、そして市長査定を経て市の予算案となるのが一月中旬。しかし、この年は前任の市長が新年度の予算を作るわけにはいかないため、私の考えを入れる余地があったのです。
十二月二五日、いよいよ初登庁。出迎えた職員から花束を受け取り、早速、市長の椅子に座りました。第二二代市川市長の任期の始まりです。議場に集まった幹部職員に対して私の抱負を述べたのち、早速、仕事にかかりました。
 年の暮れですから、年内はのんびりして、新年から始めたらどうですか、と助言してくれた人もいました。しかし、一月には、選挙のため開催が延ばされていた十二月市議会が控えています。しかも、その議会が終わると、すぐに定例の二月議会、いわゆる予算議会が始まります。
私は年内の残された時間を目いっぱい使うことにしました。
 土日返上で各部の部長、課長から各部の懸案事項や新年度予算計上の説明を聞くことにしたのです。平日、休日問わず朝八時から。通常の仕事に影響しないと考えたのでした。
 いままでどちらかと言えば、ぬるま湯に浸かっていた職員にはさぞきつかったでしょう。しかし、「何かが変わるぞ、自分たちもぼんやりしていられない……」。職員の心の中には、期待と不安が交錯したのではないかと思います。
 ヒヤリングでも、結構厳しい質問をしました。市民から見ると当然のようなことができていない。何かを聞くと前例がない、他市でやっていない、人が足りない、金がない……。
 要するにやらない理由を並べるのが上手いのです。先ほど述べたように職員を採用したから委託化は無理といった事業もありました。こうしてみると、私の考えを反映できる余地はいくらもなかったのです。
 これでは財政をいくら建て直したって、日本一の都市になんかなりっこない。職員の意識を変えなければいけない。これが一連のヒヤリングから受けた結論でした。

書籍 「日本一」がいっぱい~地方自治体が変わる~

「抜本的な財政再建に着手しながら、全国初の市民活動団体への「1%支援制度」をはじめ、情報セキュリティマネジメントシステムなどのセキュリティ認証、コンビニ情報端末での公共施設の予約サービスの導入、駅前再開発事業への「特定建築者制度」の活用など先駆的な取り組みを進め、先進自治体として全国から注目を集める千葉県市川市。就任以来、こうした施策を次々と打ち出してきた千葉光行市長自身が職員、市民との取り組みを綴った一冊。

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1-01市長就任はすべての「改革」の始まりだった
~バブル崩壊後の厳しい財政を引きずる市川市

市長の任期は何年か知っていますか。そう、四年です。
 長いようで、まとまった仕事をするには非常に短い。私は結果的に二選、三選され、三期目
の途中を歩んでいます。しかし、最初から「自分は三期やるつもりだから十二年間で公約を実
行しよう」なんて考える候補者はいません。市長を選ぶのは有権者の意思です。次の選挙のこ
とは誰もわかりません。
 ですから、選ばれたその任期で思いを完結させるのが鉄則。もっとも、選挙の公約に掲げた
こと、思っていることにすぐに着手できればいいのですが、下地づくりにかなりの時間がかか
ります。そうするとまるまる四年が使えません。私の一期目がまさにそうでした。
 私の就任したとき市川市にとっては、財政が非常に厳しい状況のときだったのです。私は市
会議員、県会議員をしていましたので、地方の財政がどういう状況にあるかは知っているつも
りでした。ですから、選挙の公約にも行政改革を掲げたのです。
 しかし、はっきり言ってこれほど重症だとは思っていませんでした。たとえてみれば、給料
(収入)は減っているのに、医療費や学費やローンの支払いは増えている、貯金はほとんど食
いつぶしてしまって、逆に膨大な借金もある、そういう状態です。
 それまでの財政運営が上手くいってなかったと言うのではなく、バブルがはじけ、金融機関
も倒産するようなどん底の景気を反映していたわけです。市川市だけが特に悪かったのではあ
りませんが、とにかく財政を立て直さないと何もできない。そう私は思いました。
 そのくせ、翌年(平成一〇年度)にオープンすることになっていたリハビリと老人保健施設
を直営で運営することを決めていたこともありました。それを聞いた私は「今からでもいいの
で、委託にできないのか」と主張したのですが、「もう職員を採用することにしているので、
戻れません!」と突っぱねられたのです。
 「これは一筋縄ではいかない。どうしたものか」。市長選挙当選の興奮も冷めやらぬうちに、
こんな厳しい現実を突きつけられ、はっきり言って途方にくれました。
 しかし、考えてみれば、市民が私に市政を任せてくれた、私はその期待に応えなければなら
ないのです。しかも四年という任期の中で……。
 「よし、私の手腕を発揮するチャンスだ。この厳しい状況から抜け出し、この市川市をもっと
もっと住みよい街にしてみせるぞ」
 私は自分に誓いました。

書籍 「日本一」がいっぱい~地方自治体が変わる~

書籍 「日本一」がいっぱい~地方自治体が変わる~
千葉光行 著/212頁 /1,575円(税込)
抜本的な財政再建に着手しながら、全国初の市民活動団体への「1%支援制度」をはじめ、情報セキュリティマネジメントシステムなどのセキュリティ認証、コンビニ情報端末での公共施設の予約サービスの導入、駅前再開発事業への「特定建築者制度」の活用など先駆的な取り組みを進め、先進自治体として全国から注目を集める千葉県市川市。就任以来、こうした施策を次々と打ち出してきた千葉光行市長自身が職員、市民との取り組みを綴った一冊。

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目次

第1章「クール宅急便」と言われて~市長の財政再建奮闘記

  • 1-01市長就任はすべての「改革」の始まりだった
      ~バブル崩壊後の厳しい財政を引きずる市川市
  • 1-02土日返上、会議は朝八時から
      ~「何かが変わるぞ」と期待と不安の職員
     
  • 1-03部長室の仕切りを取りはずす
      ~コミュニケーションがとれる組織に変える
     
  • 1-04職員からの提案を積極採用
      ~「市長への手紙」はアイデアの宝庫
  • 1-05行政組織はアメーバのごとく~
      前例にとらわれず、ふさわしい組織を作る
  • 1-06「行革推進室」を市長宣のそばに置く
    ~「推進室からの発信」は、「市長からの発信」である
  • 1-07足元の明るいうちに競輪組合を解散
      ~競輪の開催を続ければ、あと数年で赤字に転落
  • 1-08広域で行政を考える
      ~市川市が政令指定都市を目指す
  • 第2章 市民の目線で考える  ~民間の「お知恵拝惜」

  • 2-01 広報紙を月四回発行に増やす~配布を楽しみにする市民も
  • 2-02 改革は市民の理解を得ながら~「財政健全化緊急三ヵ年計画」を掲げる
  • 2-03 自らも痛みをともなう~給与水準の高さは県内二位だった
  • 2-04 人は滅ってもサービスは低下させない~同じサーピスだったら民間委託のほうが安い
  • 2-05 学校給食で経験した委託化は大変~「委託差止め」の裁判にも
  • 2-06 保育園の委託化に保護者が反対~専属の組織を作って対応
  • 2-07 政策決定は合議の場で行う~公平、公正な人事で職員のモラールが向上
  • 2-08 お役所仕事から脱皮~「まちの相談直行便」は市民の強い味方
  • 2-09 市民からのメール・ボックスは「宝物箱」~ニーズ分析が市民満足度につながる
  • 第3章 職員の意識を変える~「できない」から「できる」に職員の意識を改革

  • 3-01 若い職員と「飲む」~「ノミニケーション」は本音で語り合う
  • 3-02 市長室には課長が入る~実務は部長よりも担当課長がわかる
  • 3-03 何よりスピードが大事~タイミングを逃すと、チャンスを失う
  • 3-04 現場主義、体験主義を貫く~市民の目線で考えることが政策判断の原点
  • 3-05 辞令をもらった日に新部署に就け~仕事はけじめが大事
  • 3-06 異動・年末年始の挨拶まわり禁止~異動の騒ぎで一日が終わるのはおかしい
  • 3-07 御用始めの夜に職員向け講話~市の財政・課題を説明するのが恒例に
  • 3-08 係制を廃止し「スタッフ制」導入~職員一人ひとりのパワーを発揮する
  • 3-09 管理職への登用は試験による~能力が実証できれば年は関係ない
  • 3-10 いい人材に学歴、年齢は関係ない~現場で働く意欲を持った職員が欲しい
  • 3-11 専門員制度を導入~二七の部門で四四名を委嘱
  • 3-12 専門員の集団により契約監理~委託を「業者ベース」から「市のペース」に
  • 3-13 予算を残した部を報償する制度~四〇〇万円の郵便料を節約した課も
  • 第4章 地域パワーを復活~市川の「人・自然・まち」は宝物

  • 4-01 文化創造の主体は市民~「文化部」を持っているのも特色
  • 4-02 文化人の足跡は市川市の財産~文化の裾野の広がりが「文化都市」の証となる
  • 4-03 「東山芸術」を市川市から発信する~記念館は開館以来、八万人が入館
  • 4-04 市民の学習意欲に応える~知識・技能を「ボランティア」に活かす
  • 4-05 寄付者の名前を残す~寄付担当窓口を定め、「寄付メニュー」を用意
  • 4-06 「子育て支援」で助け合えるまちへ~「子どもを預けたり、預かったりする」サポート制度
  • 4-07 日本初の「市民あま水条例」~生垣設置にも助成制度
  • 4-08 市民参加による環境活動~ごみコー分別収集も「環境市民会議」が提案
  • 4-09 全国初の試み「1%支援制度」~納税者が支援する市民活動団体を選ぶ
  • 4-10 夢は「1%制度サミット」~全国で制度実現への芽を育てたい
  • 第5章 「健康」をキーワードにしたまちづくり~「世界基準」の健康都市を目指す

  • 5-01 WHO健康都市に取り組む~市制70周年記念に「宣言」
  • 5-02 「ヘルシースクール」に取り組む~全校で小児生活習慣病予防検診
  • 5-03 「安全・安心」も健康都市の重要な柱~「青色防犯パトロールカー」で自主防犯
  • 5-04 「環境・健康」に良い自転車利用を促進~放置自転車を活用した「レンタサイクル」
  • 5-05 健康都市の世界ネットワーク~市川市が日本支部の支部長に
  • 5-06 市民に広がる健康都市の輪~「健康都市サポーター養成講座」も人気
  • 5-07 「国際大会開催」で世界にアピール~健康都市として市川市を世界に売り込む
  • 5-08 「路上禁煙」が全国に広がる中で~「市民マナー条例」で歩きタバコ禁止
  • 5-09 ホームレスの自立支援をする~縦割り主義をやめ、「自立支援」担当に一本化
  • 第6章 先手必勝!~ITを起爆剤に

  • 6-01 視察が絶えないPFI事業~安いコストで、質の高いサービスが可能に
  • 6-02 駅前再開発事業に日本初の制度導入~「特定建築者制度」活用で、市の負担を大幅減
  • 6-03 工場跡地を防災公園に活用~全国初の防災計画支援システムを作る
  • 6-04 「市川市版ABC」のソフトを開発~全庁あげてコスト分析
  • 6-05 「IT日本一」の第一歩は人材育成から~毎年二五名の情報化推進アドバイザーを育てる
  • 6-06 「日経インターネットアワード」で日本一~市民の目線でホームページを作る
  • 6-07 コンビニの情報端末で公共施設の予約~IT活用の官民連携は画期的
  • 6-08 全国で初めて「セキュリティ認証」を取得~市の全部門で取得は国内唯一
  • 6-09 電子自治体ランキング、四年連続全国一位~市民生活に連携した行政システム「レガシー改革」
  • 6-10 世界先進都市がモデルの「eモニター」~インターネットアンケートで住民の声を把握
  • まだまだある10年間の歩み